借地権の売却は、地主と通すか不動産会社どちらに売却をするかで大きく売却価格が変わります。また、売却の際、地主・不動産会社と交渉する際に借地権について知っておく必要があります。そこで「借地権のコーヒーカップ・ソーサー理論」を紹介してみたいと思います。
借地権とは
借地権とは借地貸家法で「建物の所有を目的とする地上権又はその土地の借地権」と定められています。借地権を得ると、不動産投資や住宅を建築する目的で建物を建てた場合、地主から土地を借り地代を支払う仕組みになってます。また、借地権は単独で土地とセット購入することも可能。この場合、購入者は借地権と底地権両方をもつ地主兼建物オーナーとなり自由に土地と建物をマネージメントできます。
借地権の種類
借地権には以下の3つの形態があります。それぞれの借地権の成り立ちや、契約の特徴や違いを見ていきましょう。
旧借地権
現在施行されている借地借家法ができるまえに適用されていた借地権です。借地権で得た土地を半永久的に借りられる特徴を持っています。
普通借地権
平成3年に公布、平成4年に施工された新しい借地権。契約を更新するごとに30年、20年、10年と契約期間が短くなり地主に有利になっているのが特徴です。
定期借地権
契約期間満了と同時に土地を返還しなければならない借地権。契約期間は50年以上のケースが多い特徴があります。
借地権のコーヒーカップ・ソーサー理論について
借地権のコーヒーカップ・ソーサー理論をご存知でしょうか。不動産業界では借地権について語るときによく用いられる理論です。コーヒーカップ・ソーサー理論とは、値段が1万円するコーヒーカップでもソーサー(コーヒーカップの受け皿のこと)がなければ買い手が使いないことです。上下揃って初めて1万円の価値があるからです。
コーヒーカップセットを借地権に例えてみると、借地権はコーヒーカップになります。例えば2億円の土地(借地権1億円、底地権1億円)が存在するとします。この場合、借地権だけを売却しても土地を所有しているわけではありません。単純計算1億円の利益となります。ここからさらに手数料が引かれるので、思っているよりも低い価格になってしまいます。
さらに借地権を売却するには、地主の承諾が必要です。
地主が承諾しないことには売却できないため、相談や説得が必要になります。
地主に買取を持ちかけることもできますが、地主に買取の義務はありません。
借地権売却の詳細は複雑ですので、注意しましょう。
また、借地権は価格流動性が非常に高いので、底地権の半額以下の価格になることもあり注意が必要です。借地権を一人で契約するのではなく複数で共有するケースではさらに利害関係が複雑になります。
このように、借地権だけの売却で利益を出すことは事実上難しいので、借地権だけでなく底地権付の物件を購入することも選択肢に入れておくと良いでしょう。