神奈川県の住みたい街に関する調査で、第3位に入った川崎市。工業地帯というイメージが強く、少し前までは「治安が悪い街」として避けられていた川崎ですが、今になって人気が上昇しています。その理由は一体何なのでしょうか。
ここでは、川崎が「住みたい街」として人気になっている理由や実際の住みやすさ、川崎に住む魅力についてまとめました。
川崎の特徴
神奈川県の北東部、横浜市と東京都にはさまれるように位置する川崎市。横浜市と隣接していて、神奈川県では横浜市に次ぐ第2の都市となっています。
戦前から戦後を通じて、京浜工業地帯の中核エリアとして栄えてきた工業都市です。
現在でも大企業の生産拠点や工場施設が多く立ち並んでおり、日本の代表的な工業地帯として知られる地域です。
県庁所在地ではない市町村としては、唯一100万人以上が住む人口の多さでも知られています。
【川崎7区】エリア別の特徴
川崎市は7つの区に分かれており、それぞれちがった表情を持っています。以下では、川崎市の区別にその特徴をまとめました。
川崎区
JR川崎駅のある川崎区は、川崎市の中心となるエリアです。川崎港周辺には京浜工業地帯があり、工業の地として栄えてきた歴史があります。アクセスの利便性が高いことで人気があり、JRや東急線、小田急線、京急線など、都心とつながる複数の鉄道が南北に走っています。
幸区
川崎市の南東エリアにあるのが幸区です。市内で最も小さな区ですが、中原区に次いで人口が多く、人口密度も高い傾向にあります。戦後の高度成長期には、工場と住宅が高密度に併存している市街地でした。再開発によって商業施設もオープンしており、特にラゾーナ川崎プラザは地元のランドマークとしても有名です。
中原区
1933年の川崎市との合併、1972年の川崎市の政令指定都市認定によってできた中原区は、川崎市のほぼ中央に位置するエリア。武蔵小杉駅を中心に、都市機能が充実しています。等々力緑地やニケ領用水などの自然にも恵まれていて、ファミリー層を中心に人気。
治安が良いことでも知られており、子育てや高齢者にやさしい環境づくりが取り組まれているエリアです。
高津区
中原区と同様、子育てしやすい町として人気の高津区。スーパーマーケットや百貨店などの商業施設も多く、時間や曜日を気にせずいつでもショッピングができるのが魅力です。
都市部と住宅街で分かれていますが、住宅街の付近にも食品や日用品を扱うさまざまな施設があり、飲食店も多いため外食には困りません。
宮前区
都心に近く、交通の利便性が高いことから、ベッドタウンとして発展してきた宮前区。起伏のある形状に位置していて、坂が多いことでも知られています。都市部ながら緑が多く残っており、子どもを遊ばせる公園や教育施設が多いのも特徴です。
多摩区
川崎市内で最も公園緑地面積が高いのが多摩区です。自然に恵まれているため農地も多く、いちごや梨などのフルーツの栽培が盛んです。季節になるといちご狩りや梨狩りを楽しめると人気。自然の中でのびのび子育てできるとファミリー層にも人気があります。
麻生区
川崎市の北西部にあり、川崎市アートセンターがある麻生区では、「しんゆり・芸術のまち」をキャッチフレーズに、芸術や文化を中心とした街づくりに注力しています。
多くの芸術祭やコンサート、映画祭なども盛んに行われていて、芸術やアートが好きな人々に人気です。
また、南黒川地区と栗木地区にある「マイコンシティ」には、エレクトロニクス関連や先端技術産業に関わりのある施設が集まっており、研究開発の拠点としても知られています。
川崎の治安は?
川崎は治安が悪いというイメージは昔の話で、今は他の都市部と同じように治安は悪くありません。夜間になると歓楽街がにぎわいを見せますが、他の地域とさほど変わりはないでしょう。
戦後から「工場の街」だった川崎は、体力や腕っぷしの強い「職人気質」の人が多くいました。そのため、昔は飲み屋街や風俗、ギャンブルなどの施設が多く、それが悪いイメージにつながっていたようです。
しかし、今では働く人々のタイプが変わりつつあります。工場にロボットやIT技術が導入されたことで、職人よりもサラリーマンのような人々が増えてきました。
また、工場で働く職人たちの高齢化が進み、風営法がシビアになったこともあり、歓楽街の縮小も進んでいます。
従来の「川崎の街」の面影はだんだんと薄くなってきており、落ち着いた街に変わってきています。
川崎が人気になってきた理由
神奈川県の住みたい街として、横浜、鎌倉に次いで人気のある川崎市。なぜ今になって人気が高まっているのでしょうか。
アクセス良好
川崎の中心地である川崎駅は、JRと京浜急行川崎駅の2駅があります。東海道線や京浜東北線、南武線の3線が通るほか、京浜急行なら羽田空港まで14分。県外へのアクセスが良好です。
新幹線なら品川までわずか9分、東京駅までは19分の好アクセス。都心への通勤も便利なことから、ベッドタウンとしても人気が高まっています。
商業施設や飲食店が充実
川崎駅周辺を中心に、川崎には大規模なショッピングモールやスーパーマーケットなどの商業施設が充実しています。生活に必要な日用品や衣料品を揃えるには不自由しませんし、それに付随して飲食店も数多くあり、気軽に外食できる環境も揃っています。
ファミリー層が多いことからファミリー向けの施設も多く、利便性が高いことも人気の理由として挙げられます。
物件価格が安い
川崎には、工場跡地の再開発として多くのマンションが建設されています。これらマンションは川沿いに建てられているため、物件価格が他の市街地よりも安い傾向にあります。
以前は川沿いの土地というと不安定な理由から避けられていましたが、土木建築技術の進歩によって、土地の利用転換が進みました。
他の東京郊外に比べて物件も広く、お得に感じやすいことから若い世代やファミリー層から人気を集めています。
子育てしやすい
川崎市は、子育てしやすい環境としても注目されています。令和3年、4年連続で保育所の待機児童の数はどちらも0と、保育所やこども園に子どもを預けやすい環境です。
川崎駅周辺には認可保育所が40カ所、幼稚園は18カ所、小学校は20校あり、川崎区内のどこに住んでも子どもを預ける施設があります。
また、川崎市では「小児医療費助成制度」という制度を設けており、小学校6年生までの医療費が基本的に無料。病院代や薬代を心配することもありません。
さらに、「地域子育て支援センター」が開設されており、親子がふれ合いながら遊べる場所や子育てに関する悩みを相談できるサポート事業も行われています。川崎市民であれば誰でも無料で利用できるので、気軽に通えるのが魅力です。
川崎でおすすめのスポット
ラゾーナ川崎プラザ
JR川崎駅に直結しているアクセス良好な大型商業施設です。ファッションや飲食店、生活雑貨、インテリアなど、衣食住が揃う店舗が集まっているほか、映画館などのエンターテイメント施設も入っており人気のスポットです。
2つのステージ広場があり、さまざまなイベントや催し物が開催されていて、休日は地元の人を中心ににぎわいを見せています。
川崎大師
関東三山、厄除けのお大師様として知られる川崎大師は、厄除けや家内安全、交通安全など、さまざまなご利益があるとして全国から多くの参拝者が訪れます。京急電鉄大師線の川崎大師駅から徒歩約5分の好立地で、休日は県内外からの観光客でにぎわいを見せるスポットです。
真言宗智山派の大本山で、境内にはさまざまな見どころが満載。周辺の仲見世商店街には、飴屋さんや蕎麦屋さんなど、さまざまなお店が軒を連ねています。
藤子・F・不二雄ミュージアム
ドラえもんやオバケのQ太郎、パーマン、キテレツ大百科など、数々のヒット作を輩出したことで知られる有名漫画家、藤子・F・不二雄氏が描いた原画や資料が展示されているミュージアムです。
藤子・F・不二雄氏は昭和36年に川崎市に引っ越してから、亡くなるまでの間、30年以上も住み続けたことからこの地に建設されました。
駅前や周辺の道路にはドラえもんやQ太郎のフィギュアもおかれてあり、ミュージアムに向かうまでの間も家族で楽しめるスポットです。
東京湾アクアライン
千葉県の木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアラインは、車でのアクセス時に立ち寄りたいスポット。世界的にも珍しい海上PA「海ほたる」が有名で、建物の最上階からは横浜ベイブリッジや新宿の高層ビル群、富士山など、川崎周辺の眺望を360℃楽しめます。
等々力緑地
川崎市中原区にある都市公園です。子どもが遊べる遊具や運動施設があるほか、サッカーコートは地元Jリーグチーム「川崎フロンターレ」のホームスタジアムとして知られています。
緑豊かな公園をゆったりと散策でき、博物館や美術館も併設されていて、しばしばイベントも開催されています。運動と文化、自然に一度に触れられるスポットです。
岡本太郎美術館
世界的に有名な芸術家、岡本太郎氏が川崎市に寄贈した作品を中心に、数多くの芸術作品が展示されている多摩区にある美術館です。岡本氏の代表作「母の塔」が見られるほか、企画展示室では新人アーティストの作品も紹介されています。
美術館内にはミュージアムショップやカフェも併設されており、ゆったりとした時間を過ごせるでしょう。
かわさき宙と緑の科学館
岡本太郎美術館や藤子・F・不二雄ミュージアムと同じ、生田緑地内にある科学館。自然・天文・科学をテーマにした楽しく学べる施設となっており、プラネタリウムの観覧ができるスポットとして有名です。休日になるとファミリー層を中心に子どもから大人まで多くの人でにぎわいます。特に学校の長期休暇期間は混雑しやすいので、可能であれば夏・春・冬休みを避けて訪れると良いでしょう。